「株式会社」は英語で? 英文社名を決める時の5つのポイント
皆さまこんにちは、日本翻訳センターのRです。
今年は9月に入ると急に秋めいてきましたね。
嬉しいような、少しだけ寂しいような。
ところで皆さま、「株式会社」を英語にすると何になるかご存じでしょうか。
Co., Ltd.を思い浮かべる方もあれば、Inc.やCorporation、Ltd.などを見たことがある方も多いと思います。
さらに、K.K.という表記もあります。
ちなみに当社の英文社名は Japan Translation Center, Ltd. です。
では、この中ではどれが正解なのでしょう。
実は「株式会社」には、
これが唯一の正解、という英語表記があるわけではありません。
今回は、「株式会社」のさまざまな表し方を見ながら、自社の英文社名を決めるときのポイントをご紹介します。
株式会社=Co., Ltd.とは限らない
日本企業の英文社名では、
Co., Ltd. / Ltd. / Inc. / Corporation / K.K.
など、さまざまな表記が使われています。
「株式会社=Co., Ltd.」と覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の株式会社だから必ずCo., Ltd.にしなければならない、というわけではありません。
そもそも、日本の「株式会社」と海外の会社制度が完全に一対一で対応しているわけではありません。
少し毛色が違うのが K.K. です。
これは Kabushiki Kaisha の略で、「株式会社」を英語に置き換えるのではなく、日本語の法人形態をローマ字で表したものです。※なお、登記上の商号では「株式会社」をK.K.やCo., Ltd.などに置き換えることはできません。
法務省|商号にローマ字等を用いることについて
つまり、「株式会社を英語でどう表す?」という問いには、あえて英訳しないという選択肢まであるのです。
英文社名は「翻訳」より「ネーミング」
英文社名を考えるとき、もう一つ知っておきたいのは、日本語の社名を一字一句英語に置き換える必要はないということです。
たとえば「ABC産業株式会社」なら、
ABC Industries Co., Ltd.
となりそうですが、
ABC Corporation
とすることも考えられますし、
「産業」をローマ字で残して、
ABC Sangyo Co., Ltd.
とする方法もあります。
実際、日本企業の英文社名を見ると、日本語名をそのまま英訳していない例は珍しくありません。
三菱商事株式会社は Mitsubishi Corporation、株式会社博報堂は Hakuhodo Incorporated、株式会社村田製作所は Murata Manufacturing Co., Ltd.、岩谷産業株式会社は Iwatani Corporation です。
「商事=Trading」「産業=Industries」「製作所=Works」と辞書を引いて組み立てれば完成、とも限らないわけです。
英文社名を決めることは、単なる翻訳というより、海外で使う自社の名前を考えることに近いのかもしれません。
英文社名を決めるときの5つのポイント
では、実際に英文社名を決めるときには、どのようなことを考えればよいのでしょうか。
読みやすく、発音しやすいか
日本語では自然な社名でも、ローマ字にすると長くなったり、海外の人には発音しにくかったりすることがあります。
英文社名はWebサイトや会社案内だけで使うものではありません。
海外との取引では、会議で会社名を名乗ったり、電話でスペリングを伝えたりすることもあります。
読みやすいか、発音しやすいか、覚えてもらいやすいか。
実際に声に出してみるのも一つの方法です。
日本語の社名とのつながりが分かるか
英文社名は、日本語の社名をそのまま英訳した名称にする必要はありません。
ただし、日本語名と大きく異なる場合は、Webサイトや名刺、会社案内、契約書などを見た人に、
同じ会社であることが分かるかという点も考えておきたいところです。
海外向けのブランドとして独自性を出すのか、日本語名とのつながりを分かりやすく残すのか。
実際に使われる場面を想像してみるとよいでしょう。
事業内容を名前に入れるか
「産業」を Industries、「商事」を Trading などとすれば、どのような事業をしている会社なのか伝わりやすくなるメリットがあります。
一方で、会社の事業は将来変わるかもしれません。
すでに複数の事業を展開していて、一つの言葉では表しにくい会社もあるでしょう。
今の事業を分かりやすく表すのか。それとも将来の事業展開も考えて、少し幅を持たせるのか。
英文社名を長く使うことを考えると、
現在だけでなく少し先を見ることも大切です。
会社名の末尾をどうするか
そして悩ましいのが、
Co., Ltd. / Ltd. / Inc. / Corporation / K.K.
など、会社名の最後の部分です。
海外企業を見ても、英国ではLtd.、ドイツではGmbHなど、国や法人形態によってさまざまな表記があります。
日本企業の場合も、株式会社だから必ず一つの表記に決まるわけではありません。
ここで大切なのは、「株式会社の唯一正しい英訳」を探すことより、自社の正式な英文社名として何を採用するかを決めることです。
そして、一度決めたら表記を統一すること。
WebサイトではABC Co., Ltd.、会社案内ではABC Corporation、契約書ではABC Inc.……となると、同じ会社なのに英文名称がいくつも存在することになってしまいます。
英文社名を決めたら、社内で正式表記を共有しておくと安心です。
同じ名前だけでなく、「ネガティブチェック」も
「これでいこう」と決める前に、一度その英文社名を検索してみましょう。
同じ名前や、非常によく似た名前を別の企業がすでに使用している可能性があります。
海外で本格的に事業を展開する場合には、商標やドメイン名などについても必要に応じて確認することになります。
商標については、WIPO(世界知的所有権機関)の「Global Brand Database」で海外の商標情報を検索することもできます。
そして、海外で使う名前ならもう一つ確認しておきたいのが、ネガティブチェックです。
ネガティブチェックとは、候補となる社名やブランド名が、海外の言語や文化の中で好ましくない意味や印象を持っていないかを確認すること。
日本語では響きのよい名前でも、別の言語では不快な言葉や俗語に聞こえたり、思わぬ意味を持っていたりすることがあります。
特に複数の国や地域で使う場合は、スペリングだけでなく、実際にどう発音され、現地の人にどう聞こえるかまで確認しておきたいところです。
もちろん、世界中の言語を調べる必要はありません。
実際に事業を展開する国や地域、主要な市場など、優先順位をつけて確認するのが現実的でしょう。
名刺を印刷し、Webサイトを公開してから、
「現地では、ちょっと困った意味だった……」
と気づくのは避けたいですね。
翻訳するときは「勝手に訳さない」
では、すでに存在する会社名を翻訳するときはどうでしょうか。
たとえば「ABC産業株式会社」を見て、ABC Industries Co., Ltd.と訳せそうでも、
正式な英文社名は ABC Corporation かもしれません。
そこで翻訳の現場では、まずその企業が正式な英文社名を公表していないか確認します。
公式Webサイトの会社概要や英文サイト、IR資料、プレスリリースなどを調べ、正式名称が確認できれば、その表記を使用します。
会社名については、上手に訳すこと以上に、勝手に訳さないことが大切なのです。
おわりに ― 英文社名は、海外で使う「自社の名前」
英文社名はほんの数語ですが、一度決めればウェブサイト、名刺、会社案内、契約書など、さまざまな場所で長く使われます。
「株式会社は英語で何という?」だけでなく、
海外の人にどう呼んでもらいたいか。
海外で思わぬ意味や印象を持たないか。
将来もこの名前を使っていけるか。
そんなところまで考えてみると、英文社名も少し違って見えてくるかもしれません。
日本翻訳センターでは、翻訳のほか、社名・商品名などのネガティブチェックや、海外向けWebサイト・パンフレットなどの英語化・多言語化もお手伝いしています。
「こんなことも頼めるかな?」ということでも、まずはお気軽にお問い合わせください。
参考リンク
日本翻訳センター|日本翻訳センターのネガティブチェックサービス
日本翻訳センター|海外向けサイト、どこまで英語化すればよい?
日本翻訳センター|その他のサービス
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