多言語版制作を成功させる5つのポイント
翻訳会社が考える効率化のコツ
皆さまこんにちは。
営業企画部のMです。
本ブログの執筆時点(2025年10月)の直前に令和7年の国勢調査の回答を終えました。
面倒だなと思いつつもスマホでオンライン回答を進めると5分もかからず、少し拍子抜けするほどでした。
そして、20年ほど前に当社が国勢調査の10言語版制作を受注し、
当時の担当者が多言語版制作にかなり苦労していたことを思い出しました。
この記事では、翻訳会社の視点から多言語版制作を効率よくスムーズに進め、成功させるいくつかのポイントをご紹介したいと思います。
目次
翻訳の起点言語を正しく選ぶ(英語→他言語の展開が有効)
オリジナルが日本語であっても、日本語から展開するのがベストとは限りません。
欧米言語は日本語よりも英語から展開した方が、より自然で誤訳の少ない翻訳に仕上がることが期待できます。
たとえば、英語化することで人名などの固有名詞の綴りも確定しますので、
各国語間でバラバラな表記になるといったことも避けられるのです。
まずは英語版を完成させるのが有効なアプローチと言えるでしょう。
一方、中国語へは日本語の漢字があった方が訳しやすいですし、
日本語と似た文法構造を持つ韓国語やトルコ語などは日本語から訳した方が誤訳が少ないという声を聞きます。
もちろん、読み仮名の参考用に英語版を提供することもおすすめです。
なお、外国語に展開する時、日本人読者を想定して書かれてある日本の習慣・文化等に根差した文言のままでは
伝わりづらい場合があります。
その場合にはターゲット言語でわかりやすくなるよう書き変え、
グローバルに通用する工夫をすることがベターでしょう。
多言語レイアウトはシンプルに設計する
言語によって表示幅は大きく変わります。
スペイン語、ポルトガル語などは日本語よりも大幅にスペースが必要ですし、中国語は逆に少ないスペースで済みます。
また、中東言語は右から左に書きますので、
日本語向けのデザインにそのまま外国語を流し込むことは得策とは言えません。
あまり込み入ったレイアウトにせず、
多言語展開を見越したシンプルなデザインにすることをおすすめします。
冒頭の国勢調査の話に戻りますが、過去に対応した当時の調査票は以下のようなものでした。

出典:平成12年国勢調査調査票 https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/guide/6-01.html
この表組の中にアルファベット言語を配置するのは、いかに困難を伴うか想像に難くないでしょう。
ちなみに私が今回回答したオンライン版は極めてシンプルな横書きで、回答にはチェックボタンを押すだけのものでした!
言語ごとのバリエーション(英・中・葡など)を事前に確認
英語にアメリカ英語とイギリス英語があるのはご承知のとおりです。
しかし、どちらの英語にも特有のルールがありますので、「どちらが」ベターというよりも、
国際的に通用する、明快・簡潔な英語で書くことが大事でしょう。
中国語も簡体字版、繁体字版の「どちらを」用意した方が良いか聞かれることが多いですが、
基本的に別物です。
予算が許す限り両方を用意するのが最善だと思います。
ポルトガル語も多言語版制作時によく登場する言語です。
ポルトガルで使用されるポルトガル語と、ブラジルのポルトガル語とがありますが(厳密にはアフリカなどでも使用されていますが)、
日本国内での使用の場合はブラジルのポルトガル語で良いと思います。
出入国在留管理庁が提供するデータでは2024年6月末時点での在日ブラジル人の人口は215,510人であるのに対し、
ポルトガル人は1,000人未満であるためです。
多言語レイアウト後の校正チェックを必ず行う
当社が納品した訳文データをお客さまサイドでレイアウトを組む、ということがあります。
当該言語に精通していない方がレイアウトを組むと、不適切なフォントを使用してしまったり、
改行位置を間違えたり、文字化けに気付かなかったりということが起こりえます。
ベトナム語やタイ語などは、一見正しく表示されているように見えてもネイティブが確認すると、
声調記号が重なったり、
消えていたりということがあり、私も肝を冷やしたことがあります。
レイアウトを組んだあとに、かならず翻訳会社や翻訳担当者に
校正をしてもらう工程を挟むようにスケジュールを組みましょう。
多言語翻訳では余裕あるスケジュール設定を
言語数が増えるほど、翻訳・校正に時間がかかります。
ある言語でこのような誤りが見つかったから、他の言語でも念のため同様の誤りをしていないかチェックして欲しい、
ということも起ります。
余裕を持ったスケジュール設定が成功の鍵です。
まとめ
多言語翻訳を成功させるには、
・翻訳起点言語の選定
・シンプルなレイアウト設計
・言語ごとのバリエーション確認
・レイアウト後の校正
・余裕あるスケジュール設定
この5点が重要です。
文化的背景の調整や表示幅の違いにも配慮し、各言語に最適化した翻訳、設計とチェックを行うことで、
品質と効率を両立できます。
小さな工夫が、大きなトラブル防止につながります。
これから多言語翻訳プロジェクトを始める方の参考になれば幸いです。
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経験豊富な専門スタッフが丁寧にヒアリングし、最適な翻訳プランをご提案いたします。
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参考リンク
日本翻訳センターのネガティブチェックサービス https://www.jtc.co.jp/blog/20250825/
【必見】社内資料等の外国語版作成のメリットご存じですか?!https://www.jtc.co.jp/blog/20241018_20201016_11re/
【よくあるご質問シリーズ】日本翻訳センターにおける「チェック」とは?https://www.jtc.co.jp/blog/20240517_06re/
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