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豆知識 JTC ブログ 2025.08.08

「リマニ」という選択肢──サステナビリティ時代の企業戦略

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皆さまこんにちは、
日本翻訳センターのRです。
暑すぎる夏真っ盛り、いかがお過ごしでしょうか。

今日は、「壊れたら直して使う」という当たり前のようでいて、
実は見過ごされてきた価値観が再び重要になっているという話題です。
最近関連記事を読み、興味を持ちましたのでご紹介します。

キーワードは「リマニ(リマニュファクチャリング=Remanufacturing)」
皆さまは耳にされたことがありますでしょうか?

リマニって何?「壊れたら直す」の進化形

リマニとは、「Remanufacturing(再製造)」を指す言葉で、
主に使用済みの製品や部品を分解・洗浄・修理・再度組立て、
新品に近い状態で再販売することを意味します。

単なる中古販売や修理とは異なり、
メーカーや認証業者が責任をもって品質を確保し、
製品寿命を延ばす循環型ビジネスの一環です。

この「リマニ」、いま世界中の企業で急速に広がりを見せているそうです。

なぜ今「リマニ」が注目されているのか?

その背景には、いくつかの大きな潮流があります。

・資源価格の高騰:新品をつくるより、部品を再利用した方がコスト削減になる
・環境規制の強化:廃棄物を減らし、CO2排出を抑えるための政策が各国で進行
・サステナビリティ重視の投資:ESG評価の一環として、製品の持続可能性が問われる時代に
・「修理する権利(Right to Repair)」EU指令:
EUを中心に消費者に修理の選択肢を保障する国内法の整備、米国も続く

つまり、「リマニ」は、環境への配慮や法令遵守の手段であると同時に、
コストカットとブランディングの両立が可能な、
非常に魅力的な選択肢でもあるのです。

世界のリマニ事例

たとえばApple。
最近ではiPhone 16で、バッテリーやディスプレイが
より交換しやすい構造に変更されたことが話題となりました。
また、公式に認定済み製品を取り扱っていますね。¹

修理や再販売を前提とした設計、まさにリマニ時代の象徴的な動きです。

内外の自動車業界でも、
エンジンや部品の再製造・再販売に力を入れています。
「エンジン車の製造プロセスの50%をリマニ化することで、電気自動車(EV)よりも、
Well to WheelのCO2排出量で優位になるという試算」²まであるそうです。

しかしこの「リマニ」、実は企業によっては
すでに数十年前から「リマニ」前提の
製品ライフサイクルが出来上がっているそうです。

身近なところでは、キヤノンも1992年以来、
複合機においてかなり再製造パーツが活用されているそうです。³

また、企業向けの再生PCや中古オフィス機器を扱うビジネスも拡大しており、
「新品ではなくても信頼できる再製品」が
市場で選ばれるようになっているということでしょう。

ESGやSDGsへの取り組み・達成をアピールする上でも、
リマニ製品の取り扱いは強みになるでしょう。

特に海外企業との取引では、環境対応の姿勢が大きなポイントになることも
少なくありません。

広がる「リマニ」をめぐる産業界の課題

2章で、「リマニ」の背景となっている潮流の一番目に
「資源価格の高騰:新品をつくるより、部品を再利用した方がコスト削減になる」
と書きました。
しかし、これについては注意書きが必要です。

コスト削減になるのは、
製品回収、分解、洗浄、補修、検査、再組立て、最終検査という
一連のプロセスの構築ができ、
かつそれが軌道に乗ることが前提です。

新製品の大量生産で実績を作ってきた会社では、
リマニのための製造ライン設計、新たな品質管理が求められます。

また、いわゆる「ものづくり」の現場は、
多くの下請け企業によって支えられています。
協力企業との密接な連携が必要でしょう。

リマニ製品で「三方良し」を実現するメーカーの高い志と、
国レベルでの支援も不可欠に思われます。

翻訳会社から見る「リマニ」

私たち翻訳会社にとっても、「リマニ」の広がりは無関係ではありません。
たとえば以下のような点で、企業様のお手伝いが可能です。

・サステナビリティ報告書、CSRレポートの多言語展開
・リマニ製品の取扱説明書、販促資料の翻訳
・「ただの中古」ではなく「再製品」としての価値を伝える英文コピー
・欧州やアジアへの輸出を見据えた言語対応サポート

再生品やリユースに関する言葉の選び方は、
文化や市場によっても微妙にニュアンスが異なります。
「価値を損なわずに伝える」、
そんな多言語化の力が、ここでも求められていると感じます。

ここで一つ、翻訳会社的なネタを。
再生して活用するという意味で隣接する以下の3つのワード。
“Remanufactured” ” Reconditioned”  ”Refurbished”
どのように訳し分けができるでしょうか?

これらはそれぞれ、
「再製造品・再生品」「再整備品」「改修品(修復済み品)」
などと訳すことができます。

製品のリユースの仕方やレベルの違い、
またメーカーによって表現に違いがありそうですね。

おわりに

壊れたら直してもう一度使う。

その当たり前の行為が、
企業価値を高め、地球環境を守り、
顧客からの信頼を生む時代になりました。

個人の生活においても、
衣料品や雑貨、家具のアップサイクルや、
住宅のリフォームも広義でのリマニと言えるでしょう。

サステナビリティ時代の企業戦略として、
リマニは「選ばれるブランド」になるための選択肢の一つです。

短期的には大きな課題とも言える
リマニのための新たな設備投資等もありますが、
企業活動ではすでに、「作って売る」だけでなく、
「再設計・再評価して届ける」というフェーズに
入っていると言えるでしょう。

そしてリマニ製品の価値をどう伝えるか、どのような言葉で世界に発信するか。
私たち翻訳会社としても、企業様のその選択を支える存在でありたいと考えています。

いかがでしたか。
さらに詳しくお知りになりたい場合には、
ぜひ参考サイトをご参照ください。

日本翻訳センターでは、サステナビリティや循環型経済に関わる
各種翻訳、多言語化も承っております。

リマニ製品の多言語展開、CSR資料の翻訳など、
ご相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。

「お客様の“伝えたい”を、世界へ。日本翻訳センターがそのお手伝いをいたします。」

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参考サイト
¹ https://www.apple.com/jp/shop/refurbished
² https://www.ey.com/ja_jp/newsroom/2024/08/ey-japan-news-release-2024-08-20-02
³ https://global.canon/ja/sustainability/environment/resource-efficiency/remanufacturing/
https://forbesjapan.com/articles/detail/73185
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00755/061200002/
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00755/061300006/
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20240320.html
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ne/18/00007/00269/
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/circular_economy_01.html

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おわり

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